top of page

​全道研究テーマ

一人一人の問題解決を実現する

 今年度、 70 周年を迎えた本会は、発足時から、子どもの分かり方を捉え、子どもが生き生きと学ぶ子どもの主体の問題解決の実現に向けて、研究を積み重ねてきました。

 昨年度の第 69 回全道大会旭川大会では、「問題を見いだす」、「科学的に解決する」、「知を更新する」子どもの姿に着目し、子どもの分かり方、教師の関わり、何より、子どもが主体的に問題解決する姿とはどういうものなのか、これからの時代に求められる理科学習とはどのようなものなのかを追究しました。

 また、札幌支部、函館支部、旭川支部、釧路支部、オホーツク支部のそれぞれ独自の視点をもって研究を進め、子ども主体の問題解決について議論を深めました。

 昨年度の研究を基にさらに一歩進めていくため、今年度は、全道研究テーマを次のように設定することとしました。

「一人一人の問題解決を実現する」

 「一人一人の子どもが問題解決していたのか。」改めて、自分自身の実践を振り返ると、常にそうした子どもの姿を実現できていたわけではありません。炎が燃え続ける時間と覆いの大きさの関係に問題を見いだす授業を行った時のことです。消えていくろうそくの炎をじっと見つめ、事象に浸りながら見いだした問題について、容器の大きさを工夫したり、容器の中の気体の成分を調べたりしながら夢中になって追究を進める子どもがいました。一方で、自分の考えを表現したり、実験方法を発想したりできないままに、活動が進んでいく子どもがいました。工夫を凝らして問題を解決していく子どもの傍らに、事象に浸ることができずに、自分の問題解決を実現することができていないかった子どもがいたのです。また、新たな時代の到来を感じさせるキーワードや教育用語として、ウェルビーイング、STEAM教育、ICTの活用などがあり、子どもの問題解決を充実させる研究を進める上での重要な切り口や手だてとなります。一方で、これらが目的化してしまい、本来私たちが見なくてはならないものを見失ってしまうこともあります。私たちが最も見なくてはいけないものは、一人一人の子どもです。子どもが事象に出合い、事象と関わる中で自分の中の自然認識との違いから問題を見いだします。そして、根拠をもった予想や仮説を発想し、それに基づいて発想した解決の方法で再び事象に関わり、妥当な考えをつくり出すことで問題を解決していきます。これは、これまでに目指してきた、これまでに望んできた子どもの姿です。しかし、どの子どもからも、このような姿を引き出すことは、簡単なことではありません。これまでの研究の積み上げによって解明されてきた問題解決の在り方、手だて、子ども観、授業観を基にすることは前提とします。その上で、一人一人の問題解決が実現できているかどうかに焦点を当てることで、研究を更に一歩推し進めることにつながるのではないかと考えます。5年後には、全国大会を控えています。私たちの理科観、子ども観、授業観を深め、北海道の理科を全国へと発信するために、各支部が全道研究テーマに迫る研究主題を設定し、全道を挙げて「子ども主体の問題解決」の意味と価値を明らかにしていきます。

さらに詳しく読む…

全道・札幌支部研究部長

冨田 雄介

​(とみた ゆうすけ)

​札幌市立伏見小学校

bottom of page